
社会保険労務士とはなんでしょう?
なんとなく有名な資格のように思えますが、
その内容はよくわからないという人も多いです。
そもそも自分が目指そうとしているものが
何なのか、それを知るところからスタートです。
1:そもそも社会保険労務士って?
まず、なんにせよ何の資格かがわからないと
始まりません。
これについては、試験科目を挙げると
分かりやすいでしょう。
- 何かと有名な労働基準法(労基)
- 超マニアックな労働安全衛生法(安衛)
- 意外とシンプル労災保険法(労災)
- 知らぬと損する雇用保険法(雇用)
- 経営者の常識労働保険料徴収法(徴収)
- 実は複雑健康保険法(健保)
- 何かと話題の国民年金法(国年)
- 誤解の多い厚生年金法(厚年)
- 労働保険一般常識(労一)
- 社会保険一般常識(社一)
実は上記9、10が鬼門だったりするのですが、
まぁそれは後々説明するとして、とりあえず
これらの知識を基にいろいろな人の相談に応じたり(3号業務)
もろもろの書類、帳簿を作成、提出したり
(1号業務2号業務)
これらを人様から報酬をもらってすることを
許された者、それが社会保険労務士です。
※ただし3号業務は社会保険労務士でなくとも可能。
2:相談って例えば?
例えば、私の職場でこんな話を聞いたことが
あります。
骨折したお母さんの高額療養費の区分が、エじゃなくてウって言われたんだけどなんで?会社で突然けいれんで倒れた人が救急車で運ばれたけど、あれって労災なの?え?正社員ってクビにできないんじゃないの?国民健康保険と健康保険の被扶養者とではどっちが特かな?3年でクビになる派遣社員に深いことを教える気はないの。
つまり、社会保険労務士の業務に関わる範疇の
内容が、日常の会話としてけっこう頻繁に
出てくるわけです。
こういったことについて、正確な法律知識を
駆使して提案、コンサル、または似非知識を
ひけらかす素人にダメ出しできる(重要!)
プロフェッショナルが社会保険労務士です。
(今の時代、断片的な知識はネットでも無数に検索
できますが、調べている人間が素人である以上、
法律においては厚生労働省等の行政機関の公式以外
100%当てになりません。
情報が古かったり、個別の状況や他の関連法令に
よってそれぞれの最適解が異なるからです。
最適解をはじき出せるのはプロフェッショナルのみ)
具体的には
社会保険労務士法第二条第一号第二号において、
労働社会保険諸法令に基づく申請書の作成、提出、
それに伴う事務、給与明細とかの帳簿書類の作成、
個別紛争解決手続代理業務※
弁護士とともに裁判に出頭する補佐人業務、
などが定められています。
(※「特定社会保険労務士」という、
社労士の上位互換資格を持っている場合のみ可能)
どんな会社でも社員の給料から年金や保険料を
引いているので、絶対に無関係では
済まされません。
3:まとめ(結局必要な資格?)
社会保険労務士という資格自体が必要かどうか
となると、上記業務で報酬を得て独立するんだ!
という人でない限り、必要な資格ではありません。
実際、社会保険労務士でない人が会社の労務に
携わっている場合も多いでしょう。
しかし、TACの宮島講師の格言を借りれば、
「資格を取れば、人生が変わる」
ということです。
労務に関する幅広い知識の専門家であれば、
限られた知識の範囲内では正確に判断できない
ことでも最適解がはじき出せるので、
単純に仕事の幅が広がります。
(例えば前述のけいれんで倒れたケースでは、
少なくとも労災法に加え労基法、安衛法、健保法、
労働者派遣法、厚生労働省労働基準局長通知に
関する知識が必要)
場合によっては新聞、雑誌、TVなどから
専門家としてのコメントや監修を求められる仕事が
舞い込んでくる可能性もあります。
それに、社会保険労務士は人気資格です。
そのためもしこの資格を取得していれば、
その資格取得について講義、指導する
講師としての職や、解説書を出版する機会もあるかもしれません。
その知識の必要性、必然性、重要性から考えれば、
何のとりえもない非正規労働者が
身につけて、人生を変えるには最適な資格です。
なにしろ非正規労働者という存在自体に
直接関係のある資格なのですから。
>>次回【社会保険労務士試験に合格できない2つの理由について】
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