
社労士試験はテキストと過去問をやるだけでは
合格しません。
他に必要な要素として代表的なものは
白書、統計
労一対策
法改正
の三つが挙げられますが、
テキストに載っていない
「事務連絡」と「行政手引」も
要注意です。
1:実際の過去問(事務連絡)
次の問題を見てください。
令和4年度健保択一式問8
被保険者Bは、4月から6月の期間中、当該労働日における労働契約上の労務の提供地が自宅とされたことから、テレワーク勤務を行うこととなったが、業務命令により、週に2回事業所へ一時的に出社した。Bが事業所へ出社した際に支払った交通費を事業主が負担する場合、当該費用は報酬に含まれるため、標準報酬月額の定時決定の手続きにおいてこれらを含めて計算を行った。
こんなもの、テキストのどこにも
書いてありません。
書いてあるのは、この事務連絡です。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210405T0110.pdf

たぶん、ほとんどの受験生は気づいていると
思います。
健保の過去問をやっていて、
その解説に度々
「事務連絡」
という言葉が出てくることに。
「法律第何条」
「附則第何条」
「〇〇発第何号」
とかに紛れて「何年何月何日事務連絡」という
シンプルな記述を、かなりの頻度で
目にしているはずです。
違和感感じますよね。
ただの内輪の事務の連絡が、
なんで法律とかと同列に並んでいるのか?
これって事務連絡という名前ですが、
ただの内輪の事務の連絡では
ありません。
実際に目にしてみるとわかります。
設問に関連する部分はこのあたりです。

これを見てわかる通り、
社労士試験における事務連絡とは
厚労省公式の、実務上の事例集
です。
実務上、規定がないのでアバウトに処理しかねない
ところを、厚労省の見解としてこうしなさいと
決めているものになります。
言ってしまえば
法令と同様の規定集
といって差し支えありません。
私自身、事務連絡ってなんだろう?
ただの事務の連絡じゃなさそうなんだよなぁ?
ってなんとなく気になって調べたところ、
めちゃくちゃ重要なことオンパレードで
青ざめた記憶があります。
それ以降、マークはしていましたが、
この事務連絡が令和3年4月1日に
大きく変わっていることを
私は見逃しませんでした。
新型コロナによるテレワークの内容です。
こんなトレンディな話題、今年の試験に
出ないわけがない。
しかも社労士試験公示直前なので
試験範囲に含まれます。
がっつりチェックしましたが、
私のヤマは外れ、その年の試験では
出題されませんでした。
しかし翌年の試験に出題されたというわけです。
もう合格しちゃいましたよ、まったく。
2:実際の過去問(行政手引)
次の問題を見てください。
令和4年度雇用択一式問1
2の事業所に雇用される65歳以上の者は、各々の事業における1週間の所定労働時間が20時間未満であり、かつ、1週間の所定労働時間の合計が20時間以上である場合、事業所が別であっても同一の事業主であるときは、特例高年齢被保険者となることができない。
やっぱり出ますね、新設されたばかりの制度は。
行政手引とは
「雇用保険に関する業務取扱要領」
というもので、
関連するリンクがこちらです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/data/toriatsukai_youryou.html
該当の箇所はここ。

雇用保険における行政手引についても
事務連絡と同じで、実務上の運用で迷いそうな
ところを定めている事例集になりますが、
健保と異なり、雇用保険では実務を行う
のが、主にハロワ等の行政機関です。
その意味では、
より法令そのものとしての意味合いが
強く、この内容はテキストに書かれているものも
多いでしょう。
行政手引についてはあまりに膨大なので、
テキストや過去問でのカバーで社労士試験対策
としては十分だと思いますが、
眺めてみると結構興味深いことが
いろいろと書かれています。
例えば、離職票がなくとも、
仮手続きで基本手当がもらえるって、
知ってましたか?
(行政手引50202。以下私の動画参照)
社労士試験は
どんどん難化、事例化してきてますし、
雇用保険はネタ切れ感もあるので、
今後もしかしたら出題されるかもしれません。
4:まとめ
行政手引は教材や模試でカバーされている
範疇で十分ですが、
事務連絡は確認必須です。
いやぁそれにしても今回のこともそうですが、
白書統計といい、
法改正といい、
社会保険の歴史といい、
社労士試験は教材以外で勉強しなければ
ならないことが多いなぁ本当に。
>>前回【社労士になるための事務指定講習の中身をコッソリお伝え】
【The 社労士試験のススメ? トップページ】