
社労士に求められるニーズは、
求める人物が誰かによって異なります。
行政機関、経営者、公務員、それ以外と、
大きくこの4つに分けられますが、
最も人数の多い「それ以外」からの
ニーズの中でのダントツトップが
これでしょう。
マスコミでもしょっちゅう取り上げられます。
さすがマスコミ、熟知しています(何を?)。
しかし、マスコミが誇張するほど、
できることはそう多くはありません。
1:年金繰り下げ
マスコミがこの手の情報を取り扱う場合、
まずこれが取り上げられます。
最も見る人の目を引くからです。
何せ、もらえる年金を
最大で84%増やせるのですから。
国民年金、厚生年金ともに、65歳に達した後、
裁定請求をすることでもらえる
(「ください」と請求しない限りもらえない)
ことになっていますが、
もらう年金を1か月繰り下げるごとに
年金額が1000分の7アップします。
現在繰り下げは75歳まで可能なため、
最大で0.7%×12か月×10年
イコール84%ということです。
(ただし障害年金、遺族年金等、
他の年金の受給権がある場合は制限あり)
言ってしまえば、
できるだけ年金受け取りを
先延ばしにするように
国が「釣っている」わけです。
「令和元年度厚生年金保険国民年金事業の概況」
によれば、
厚生年金の平均は月約14万円ちょっと
なので、
国民年金月約65000円
を加えると、
だいたい20万5000円。
これに奥さんの国民年金分を加えると
だいたい世帯で27万円。
これの84%増しですから、もらえる年金は
月49万6800円となります。
ちなみに70歳で繰り下げた場合は
0.7%×12か月×5年
イコール42%増しですから、
月38万3400円となります。
もちろん厚生年金は働いていた時に収めた
保険料によって年金額が変わるので、
ゴミみたいな時給の派遣や、
賞与など「?」の契約社員等の非正規雇用、
もしくは失業期間のある人は
月14万ももらえるはずありませんし、
自営業等、会社勤め経験がない場合は
厚生年金自体もらえませんが、
繰り下げの増加割合は変わりません。
2:可能な限り長く働く
前述の通り、厚生年金は働いていた時に収めた
保険料によって年金額が変わるものです。
厚生年金は70歳に達すると、
受給資格期間を満たしていない場合を除き、
被保険者ではなくなりますので、
それまでの間にできるだけ多くの
保険料を納めることで、
受け取る年金の額を増やせます。
これは、年金を繰り下げるかどうか、
既に年金を受け取っているかどうかに
かかわらず可能で、
退職時は退職改定のタイミング
(3月31日退職の場合は4月分から)
在職時は在職定時改定のタイミング
(毎年10月分から)
で、それまでに納めた保険料を基に
年金額が改定(増額)されます。
ただし、厚生年金の被保険者でないと
保険料は納められないので、
再雇用などで労働時間、労働日数が減り、
厚生年金の適用除外に該当してしまうと
この方法で年金額を増やすことは
できません。
3:健康保険の任意継続被保険者を利用
協会けんぽもしくは健康保険組合に入っていた場合
退職後最大2年間は、
それまでの健康保険に
そのまま継続して加入できます。
ただし、それまで会社が半額負担していた保険料を
本人が負担することになりますので、
保険料が倍になります。
保険料が倍になってでも入ったほうが良い理由、
それは「被扶養者」です。
もし任意継続被保険者にならない場合は、
国民健康保険に入ることになりますが、
国民健康保険の場合
「被扶養者」という概念がありません。
それまでの「被扶養者」が
全て「被保険者」となります。
つまり、今まで被扶養者として
保険料がかからなかった人たち全てに
保険料が発生します。
健康保険の被扶養者の範囲は相当に広い
(基本的に3親等内の親族なので、
兄弟姉妹はもちろん、曾祖父母、曾孫も範囲内。
人数制限なし)ので、
この衝撃は、被扶養者の人数が多ければ多いほど顕著です。
基本的に国民健康保険の保険料は
月々の年金額から特別徴収(天引き)
されるので、退職した途端に保険料で
ごっそり年金を減らされるよりは、
2年間今までの健康保険に入っておくことで、
その衝撃を先延ばしにできます。
4:付加年金、国民年金基金
これは国民年金第1号被保険者に限った話で、
対象者は誰でも知っている話ですが、
毎月の保険料にプラスして払うことで
(付加年金は月400円)
受け取る年金額に上乗せ
(付加年金は月200円)
できる制度です。
5:まとめ
今回は年金額に絞った話なので、
在職老齢年金や
雇用保険の高年齢求職者給付金、
雇用継続給付は割愛しましたが、
いずれにしても、
国民健康保険料、介護保険料、所得税、住民税と、
ただでさえ少ない年金を
これでもかと搾り取ることに
国は大変意欲的なので、
焼け石に水ではあります。
あとはもう、iDeCo、NISA、株、FX、
暗号資産、先物取引などを駆使して、
個人個人が、自己の責任において、
入ってくる額を増やすことに
全力を注ぐしかありません。
(確定拠出年金の話は運用結果次第で
年金額が「減る」可能性があるので
割愛します。
iDeCo以外の投資リスクは言わずもがな)
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