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社労士試験は合格率の低い試験です。

しかし、学習内容はそこまで難易度が高いわけでは
ありません。

完全マークシートですし、六法も出題されません。

面接試験もありません。

それなのに、受験者の9割以上が合格しない。

その原因の一つが、間違いなくこの
労働保険一般常識の選択式です。


他の全科目が満点(十分に可能です)だとしても、
ここで1点足りずに足切りとなれば
不合格決定。

このパターンで泣きを見て、
1年間(2年間、3年間・・)を棒に振る人は
多いです。

今回はその対策を、独学で合格を勝ち取った
私が伝授します。








1:まずは他の科目を万全に



基本中の基本ですが、あえて書きます。

本格的な労一対策は、他の労基、安衛、労災、雇用、徴収、健保、国年、厚年、
社一を完璧に仕上げた上での話です。


他の科目が覚束ないようであれば、
そちらを優先してください。





2:まずは基本を万全に



これも当たり前のことですが、
テキストに書いてあること、
問題集に書いてあること、
過去問に書いてあることは
すべて万全に頭に叩き込む必要があります。

なぜなら、それは全ての受験生が
当たり前にやっていること
だからです。

社労士試験は、
他の人が当たり前にやっていることを
怠っている人間から順番にふるい落とされていきます。


個人の自信、学習進捗、頭の良さに関係なく、
そもそもの合格率からして
受かる試験ではないのです。

労働組合法
労働関係調整法
労働契約法
労働時間等設定改善法
過労死等防止対策推進法
個別労働関係紛争解決促進法
パートタイム有期雇用労働法
男女雇用機会均等法
育児介護休業法
次世代育成支援対策推進法
女性活躍推進法
最低賃金法
賃金支払確保法
中小企業退職金共済法
労働施策総合推進法
職業安定法
労働者派遣法
高年齢者雇用安定法
障害者雇用促進法
職業能力開発促進法
求職者支援法

そして、労務管理の基礎理論、
労働経済の用語や労働統計の数値や傾向。

これは、どの会社のどのテキストにも書かれている内容です。

すなわち、
学習経験のある誰もが知っていること
と考えていて間違いありません。

項目が多いので、特に出題頻度の高い重要な項目を
印付けしようとも思いましたが、やめました。

労働組合法、労働契約法は特別重要ですが、
実際にはこの中のどこからでも
出題される可能性がある
からです。

全部を万全に対策しましょう。

全てはそこからの話です。





3:法改正、最新統計、白書対策



法改正情報や最新の統計情報については、
毎年5月頃にそれ用のテキストが販売されますので
独学者は絶対に買いましょう。
絶対です。


問題は白書対策ですが、
「厚生労働白書」でググると、
厚生労働省の「白書、年次報告書」コーナーが
検索できます。

ここで最低限、最新の

厚生労働白書
(500ページ以上あります)


労働経済の分析
(300ページ以上あります)


この2つは全てのページに目を通して
おきましょう。

ページ数が膨大ですが、コラムは読み飛ばして
問題ありませんし、古い情報や全く無関係の部分は
流し読みで問題ないので、
とにかく一度は全てに目を通してください。

他にも様々な統計が載っていますが、
この2つほどのボリュームは無いので、
4月中旬に試験が公示された時点での
最新のものは全て目を通してください。


これを怠った人達は、
おそらく令和3年度労一選択式の空欄E
全員間違えたのではないでしょうか。

選択式の空欄は各科目ともたったの5つしかないので、
努力で稼げるところを
1問落としてしまうのは致命的
です。





4:勉強したことは出題されない



ここからが本番です。

ここまでは、どの予備校、どの参考書でも
フォローされますし、
独学でもたどり着ける境地です。

しかし、
これでもまだ合格には届きません。

ここまでの話を前提として、
問題はここからなのです。

さて、実際の本試験では、このように苦労して
勉強してきた内容は出題されません。

はい、出題されません。

労働保険一般常識は
全科目中最も勉強する量が多いので、
勉強するだけで大丈夫な気になるのですが、
そのように苦労して努力したことが
出題内容には一切反映されません。

知っていることがたまたまドンピシャで出題される
場合もありますが、そんなのは稀ですし、そもそも
学習範囲が膨大過ぎて全てを網羅できるはずもなく
仮に学習したところから出題されたとしても
気付かずに初見問題と思ってしまうことが
ほとんどです。

この科目ほど、勉強した量に成果が
「直結しない」科目もありません。


他の科目は全て、勉強した量がある程度そのまま
合格に近づくステップアップとなりますが、
唯一この労一選択式だけは、
それだけでは不十分なのです。





5:他社の問題集をやる



未知の問題を解く力が求められる労一で、その力を養うためには、
他の科目と少し視点を変えなければなりません。

その一つが
「他社の問題集をやる」
ということです。

学習の大前提として「教材の浮気はしない」という鉄則がありますが、
労一選択式はこの鉄則の例外になります。

もちろん持っている教材をほぼ完璧に
やり込んでいる前提ではありますが、
労一選択式は別の視点を持つことが大事なので、
ここで「他社の教材」に手を出してみましょう。

「他社の」という点が重要で、
試験の出題範囲は決まっていても、それに対する
アプローチ、考え方は各予備校、各出版社で
異なります。

この違う視点を取り入れることが、
未知の問題に対する判断力を大幅に上げます。


TAC中心で学習しているなら大原のものを、

大原中心で学習しているならLECのものを、

LEC中心で学習しているならTACのものを、

これは通学で学習している人に
特に当てはまります。

所属している予備校で、労一選択式の問題演習も
当然に行われるわけですが、ここはひとつ、
予備校の帰りに書店へ寄って、
他社の労一対策の問題集を買ってみましょう。

驚くほど違います。

ちなみに私はTAC中心で学習していましたが、
まさしく労一がネックで合格に繋がらなかったため
労一(社一も)に関しては
【 社会保険労務士試験のおすすめ教材 】
でも紹介している、以下の大原の問題集を
買ってみました。







この年に合格したわけですから、
間違いありません。





6:試験直前期は労一対策をしない



この時点で、やるべきことは既に
全てやり終えています。

そして、どうせやったところは
本試験では出題されません。


それならもう、本試験直前期、
だいたい8月に入ったあたりからは、
基本的な見直し程度に留めて、
労一のことは忘れましょう。

特に過去問はやらないほうがいいですね。

万一本試験で過去問と同じような問題が出た場合、
過去問の通りに回答すると
誤りとなる場合があるから
です。

過去では合っていても、
それが今現在も正しいとは限りませんし、
そこを突くためにあえて出題されている可能性が
高いです。

私は令和元年度労一選択式の空欄E
泣きを見ました。
(なお、他の科目の直前期は逆に過去問最優先)





7:本試験は勘で答える



さて、いざ本試験で労一選択式問題と
対面するわけですが、
まずは「こんなん知るかよ!」
突っ込むことになります。

「わかるわけねーだろこんなもん!」

もちろんここで
「ああ足切りだ、不合格だ」
と絶望する必要はありません。

ここから本番です。

落ち着いてとりあえずは
労一選択式を飛ばし、
他の社一、健保、厚年、国年を
先に片付けてしまいましょう。


そして労一に戻り、まずは選択式の
セオリー通りにさらっと問題文通読、
さらっと選択肢通読、
その後じっくりと問題文熟読、
それから選択肢絞りに取り掛かります。

でも、ここで深く考えたところで、
わからないものはいくら考えてもわかりません。

ここは変に考え過ぎず、
ファーストインプレッションの思い付き
でさらっと回答しましょう。

勘で答える、ということです。

あてずっぽうで運に任せる、ということではありません。

大違いです。

ここで、今までボロボロになって学習してきた経験の本領が発揮されます。

上記4章で、「この科目ほど、勉強した量に成果が
「直結しない」科目もありません」と
「直結しない」をカッコで囲ったのは
このためです。

直結はしませんが、
この経験は問題を解く総合力として
体の中にしっかりと実力が蓄えられています。


たとえ知っていることが出題されなくとも、
この総合力が備わっていれば、
勘で出した答えは不思議と正解します。


この総合力は、
膨大な範囲の学習をこなしてきて
初めて身に付くもの
です。

深く考えすぎて、変に理屈をつけて
導き出した回答はまず誤っています。

それよりは、今まで必死に頑張ってきた
自分自身という人間を信用するべきです。


その勘の答え次第では、
同じ選択肢を複数の空欄に当てはめて、
どちらかが正解することに賭ける

という判断もありでしょう。

分厚く、濃厚な学習経験に自信があれば、

今までの自分を信じることができるなら、

深く考えず、勘で答えて大丈夫です。





8:まとめ



労一選択式は、他の全ての科目と
全く性質が異なります。

おそらくこれで社労士試験を諦める人も
多いでしょう。

ただ、その本質は、実に深いところで
合格に値する人かどうかを判断しています。


落ちる人のほとんどは、この労一選択式か、
もしくはたまたまここでうまくいって、
その後の社一以下で油断して

うっかり足切りになるかのどちらかでしょう。

正式な科目名
「労務管理その他の労働に関する一般常識」
とは、あくまで
「社労士として求められる一般常識」
を問われている
ことを自覚しなければなりません。

今回の記事が、不合格で苦しんでいる受験生の
一助になれば幸いです。





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