
社労士試験の試験範囲の中で、
試験勉強としては超基本事項で誰でも知っている
ことなのに、なぜか一般の人にはほとんど
知られていないことがいくつかあります。
なんでもそうですが、どんなに自分に得であろうと
知る機会が無ければ知りようが無い
のです。
知らないことで単に損しかしていないお得なお金
今回は「死亡」がきっかけとなるものについて、
いくつか紹介してみます。
1:埋葬料(健保)
健康保険法の被保険者が死亡したとき、
その者により生計を維持していた者であって、
埋葬を行うものに対し、埋葬料として
5万円が支給されます。
「生計を維持していた者」
「埋葬を行うもの」との条件がありますが、
生計の一部でも負担されていれば親族や遺族でなくとも
「社会通念上埋葬を行うべきもの」に
支給されますし、仮に生計を維持されていた
者が誰もいなくとも、実際に埋葬を行った者
に対し、5万円の範囲内において
その埋葬に要した費用に相当する
金額(埋葬費)が支給されます。
この規定は健康保険法だけでなく、
国民健康保険法、船員保険法、
後期高齢者医療制度にも
同様の制度があります。
死亡者はまず間違いなく何らかの公的医療保険に入っているはずなので、
その手続きで保険証を
返却する際に申請することが可能です。
2:死亡一時金(国年)
第1号被保険者(会社員や公務員の第2号被保険者
や、その配偶者の第3号被保険者は含まれません)
として保険料納付済期間に相当する月数が
36月以上ある人が、
老齢基礎年金、障害基礎年金の支給を受けずに
死亡し、さらに遺族基礎年金も支給されない場合、
その遺族に
12万円(36月以上180月未満)~
32万円(420月以上)の範囲で
死亡一時金が支給されます。
遺族とは、死亡したものの配偶者、子、父母、孫、
祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時
その者と生計を同じくしていた者です。
例外はありますが、基本的に全国民対象の
国民年金法において、死亡の際に支給される
遺族基礎年金、寡婦年金は支給条件が
かなり限定的です。
国民年金の保険料は支払っていて、その恩恵を
全く受けないまま死亡した場合には、
掛け捨て防止の意味もあって、
こうした制度が用意されています。
3:未支給年金
労災保険法第十一条
この法律に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族、複数事業労働者遺族年金については当該複数事業労働者遺族年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
雇用保険法第十条の三失業等給付の支給を受けることができる者が死亡した場合において、その者に支給されるべき失業等給付でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。
国民年金法第十九条年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
厚生年金法第三十七条保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
死亡した人が、本来死亡するまでの間に
もらえるべき給付を請求していなかった場合、
その給付がそのまま立ち消えになるわけではなく、
一定の遺族にその給付を請求することが
認められています。
これは見逃すともったいないです。
優先順位があるとはいえ国年、厚年は
「三親等内の親族」まで対象範囲ですし、
特に雇用保険法は、失業者が雇用保険を
請求しないまま死亡した場合、
失業者本人でなくとも失業等給付を
受けることができることになります。
(ただし雇用保険は死亡した日の翌日から起算して
6箇月以内に請求しなければなりません)
4:まとめ
昨今は、超少子高齢化、長期老老介護、
氷河期世代の高齢化、非正規や無職の長期化等の
影響によって、葬式も出せないほどに
お金に困る人が増えています。
身内が死亡した場合、大抵は遺族厚生年金を
もらえるケースが多いですが、死亡者が
サラリーマンではなかった等の理由で
それが叶わず、貯蓄もなく、収入もない場合でも、
5万円あれば、それにいくらか足して
なんとか最低限の葬式は挙げられるでしょう。
死亡一時金が出るなら
さらにプラス12万円は確実です。
いずれも税金はかかりません。
この事実、知っているのと知らないのとでは、
人によっては人生変わるのではないでしょうか?
存在自体知らなければ
ネットで調べようもありません。
社労士試験は、そういった意味では
結構お得な資格試験かもしれません。
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>>前回【社労士試験に不合格となる4つの要素】
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